国際基準のインテリアデザインをアメリカからおとどけします

ハズレくじをひいた話

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シカゴのインテリアデザイナーのあいです。独自開発したインテリアデザイナー、コーディネーター養成講座には現在100名以上が在籍。無料講座も提供中。インテリアのノウハウやトレンドなどを随時ブログ等で発信しています。
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こんにちは。
あいです。

インテリアデザイナーと建築士の対比ってよく話のネタにも上がるのですが、アメリカでは、建築士とは対等の立場です。外側を作ってくれる人がいなければ、中身は存在し得ませんし、中身を作れる人がいなければ、ハコだけあっても価値は産みせん。更にデザインがどんなに上手くても、それを形にしてくれる各業界の職人さんの腕に頼らなければ実現はしません。

そのように考えると、全員対等なチームワークです。誰かひとりが偉そうにしていてもチームとしては成り立ちませんし、誰かが無能でも同じ事です。それぞれに知識力、技術力そしてコミュニケーション力の高いチームが作ることができれば上質な作品になりますが、どこかに問題が発生すると、プロジェクト全体の足を引っ張ります。工期の延長はコストにもダイレクトに響きます。

今日は、投資目的で購入したとんでもないボロ物件のフルリノベーション工事(フリップ案件)で、専門家チーム編成の失敗談があるのでシェアしてみようと思いました。

長野オリンピックのボブスレーの選手であった事が最高の誇りであり、NYで配管工として独立し10年以上のキャリアがある事に絶対の自信を持っており、ジム通いが日課であるムキムキの大男、人あたりがよく明るいポール。

ただ唯一最大の難点は「全く仕事ができない」事でした。

最高にプライドが高く、いつも自信に満ち溢れているので、彼の作業方針に反論しても、仕事の間違いを指摘されても極めてさわやかに受け流していましたが、本人の問題解決能力は驚愕するレベルでした。

私たちが購入したボロ家はキッチン床下のコンクリートスラブを通している水道管で水漏れがあり、プロジェクト開始後一番にプロによる処置が必要でした。ポールが「床下のコンクリートスラブを掘って、新しい水道管を通すしかない」と自信満々に力説する話を、プロの見解であると受けて話を進めました。

1週間あれば全部終わるからと言って始まった水道工事。床にドリルで掘った大きな穴がある以上、その工事が終わらないと次の業者が入れない状態。「すぐ済む」と言いながら「ボブスレー時代の古傷による腰痛が理由で病院へ行く」がお決まりの理由でドタキャンが5~6回続く。やっと現場に来てくれたと思ったら、ジム帰りだという。「腰痛だったら筋トレやめとけば?」というと、アスリートとして最高のリフレッシュなのだと力説される。もはや筋トレの話などどうでもよいから、ジムに行けるなら腰痛を理由に仕事のドタキャンを続けるのをやめてくれ状態の私。

結局全4週間使って、穴掘りと穴埋めをしたポール。しかし新しく通したパイプはコンクリートを雑に埋めなおしたせいで、再度穴が開いたらしく、埋めた後でも水漏れの音。でも「そんなはずはない」と絶対に水漏れを認めないポール。おまけにHotとColdのパイプがどうつながっているのか混乱して、お湯が流れるトイレになる始末。

すでに$7000を支払ってしまっていたものの、このままポールに任せていてもいつになったら終わるかわからず、キッチンキャビネットのインストレーションの日も迫ってきていたこともあり、不服の極みながら払ったお金をあきらめて縁を切りました。

同じ時期に作業していた他の分野のプロ数人が、この極めてしょうもない工事を見てかなり心配をしてくれていて、ビンスという職人を紹介してくれました。ビンスは「床のコンクリートを掘り返さなくても、普通はパイプのルートを天井に変えるけどね」と$2000くらいで2日で全部修理してくれ、プロジェクトはなんとかそこから予定通りに起動修正でき、強行突破できました。

今でも不服なこの事件ですが、結果的に良い人脈を手に入れる事が出来たのは財産。そして、助けてくれる人がいるありがたさ。…辛うじてこの様に思います。


掘り返されたキッチンの床

Have a beautiful day,
Ai

Image picture source: https://unsplash.com/s/photos/joker

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