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その廊下、ソファ何本分ですか?

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シカゴのインテリアデザイナーのあいです。独自開発したインテリアデザイナー、コーディネーター養成講座には現在100名以上が在籍。無料講座も提供中。インテリアのノウハウやトレンドなどを随時ブログ等で発信しています。
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こんにちは、あいです。

今回はマンションの一般的な間取りにある廊下についての考えを書いてみたいと思います。

実際にはいろんなバリエーションの間取りがあるというのが大前提としても、圧倒的に印象が強いのはやはり、「玄関からリビングへのアクセスとして長い廊下が伸びている」というスタイルです。

昔の日本家屋は部屋を囲うように長い廊下があったので、もしかしたら日本人は長い廊下に慣れているのかもしれません、昔の人は。

 

でもこの「長い廊下」は本当に必要なのでしょうか?

当然ですが、単に廊下を嫌って言っているわけではありません。

空間をゾーニングする手段として、壁やドア、廊下というパーツをどう使うか?という選択の中で最適と判断した場合は使うべきです。

でも、特に意匠なく、「とりあえず真っ直ぐ伸びる廊下を軸に空間を展開しているだけ」なのであれば、それに対して言いたい事はいくつかあります。

例えば、4人家族で都心部にお住まいのご家庭で、リビングルーム内に家族全員がゆったりとくつろげるだけの座面を確保しているケースって、意外と少ないのではないかと思います。

 

具体例を挙げると、4人家族なのに2人掛けのソファ1本だけとか、誰か1人がソファで横になっていたら、他の人は床で過ごすしかない、とか。

確かに、畳生活も知っている日本人のDNA的には問題ないのかもしれませんし、実際、それはそれで機能しているのだとは思います。

でもインテリアの定義が「機能性と美しさの両立」だという観点から言うと、これでは機能性の面でも美しさの面でも条件を満たせていません。

ただでさえ、個々がデジタルデバイスをつかったり、家でもイヤフォンをつけっぱなしにしていたりするような時代ですので、同じ家の中にいたとしても、個々が全く違う世界にいるような感覚になりがちです。

ですので、せめてリビングぐらいは、物理的に家族全員が快適に一緒に過ごせるスペースがあるべきではなかろうか、という風に思います。

こう考えたときに引っかかるのがあの「長い廊下」です。

だって、その廊下が占有している面積をLDKにうまく転化させられたら、多くのマンションでソファをもう一本ぐらい置けますよね。

 

そして、もうひとつこの「廊下を軸とした空間」について思うことは、玄関を入って、家のパブリックエリアであるLDKを通らずして各個室にアクセスできてしまう動線です。

これはキッチンに食べものを求める以外、LDKに行かなくても生活が成り立ってしまう間取りです。

ここに着目することも生活の質を改善する切り口になるはずです。

私なら、同じ家に住んでいる人たちが、バラバラの個人ではなく、グループの一員として、もっと無意識にLDKへのアクセスが増えるような動線のデザインを考えます。

動線のデザインには「人が動く事実に基づいて作る」と「人をこう動かしたいという狙いに基づいて作る」という両方のアプローチがあります。

 

ちなみに海外インテリアでは集合住宅であるほど廊下がないケースが多いです。理由は単純で、空間の広さに対して「非効率かつ不要」だからです。

ただし、最初にも言いましたが、単に「廊下がなければ良い」というわけでもありません。効率的かつ有効であれば当然必要です。

私がいいたいのは、美しく機能的なインテリアを本気で求めたら、長い廊下が回答にはならないケースも多いという事です。

決して従来の間取りを否定しているわけではありませんし、面白い間取りを推奨しているわけでもありません。

ただもっと頭を柔らかくして、住環境の質を向上させる事を考えることができたら、多くの可能性があるはず、ということです。

誰かしらのヒントになれば幸いです。

 

Have a beautiful day,
Ai

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