国際基準のインテリアデザインをアメリカからおとどけします

廊下を無くすという発想

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シカゴのインテリアデザイナーのあいです。独自開発したインテリアデザイナー、コーディネーター養成講座には現在100名以上が在籍。無料講座も提供中。インテリアのノウハウやトレンドなどを随時ブログ等で発信しています。
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こんにちは。あいです。

Work from home、在宅勤務が一つの働き方として定着しようとしているのはアメリカも日本も同じかもしれません。アメリカではコロナ対策で国からの給付金もたくさん出ている影響もあるのか、最近自宅内の職場環境の整備に投資する人も多いようです。

 

ところで、私が日本の住宅、特にマンションの間取りについていつも疑問に思っている事があります。それは、「ただでさえスペースに限りがある中でなぜ中央に長い廊下を作るのか?」という事です。

LDKの展開が奥にあるから当然そこへのアクセスの為に必要なのだという事は理解できます。ただここで私が思う事は、「そもそも家の最もパブリックなエリアをなぜ玄関から一番遠いところに設置しているのか」です。

 

「そうなってるから仕方ない」という片づけ方では未来に対して進歩がありません。これは私の主観的な意見ではなく、理論的に不自然な事が起きています。

以前、玄関はパブリックからプライベートへのトランジションエリアだとお話しました(過去の記事はこちら)。

そして家の中でも、プライベートレベルには区分があり、LDKはパブリックであり、寝室はプライベートです。

寝室はプライバシーレベルも高く、貴重品がおいてあったりもするのでセキュリティの問題でも外から簡単にアクセスして欲しくありません。

こういった理由から、LDKは玄関近くにしておくのがヨーロッパ、北米圏の基本です。海外っぽいとかいう表面的な話ではなく、歴史のレールの上を歩いてきた人々の生活に沿った結果がそれであると言えます。

 

そんな中、最近日本でも「マンションの間取りから廊下を無くしてしまう」という動きがあるという記事を読みました。在宅勤務などで自宅にいる時間が長くなる中で、廊下を無くすことによって、限られた空間を部屋としてもっと有効に活用しようという発想のようです。

この発想と方向性には多いに賛成します。

 

ただそこで紹介されていたインテリアが「個性的な間取り」を売りにしたものだったのが残念です。せっかく廊下分のスペースを増やしても、玄関を開けたらベッドが丸見えである間取りや、キッチンが丸見えである間取りだったのがなんとも悲しい気持ちになりました。

間取りを作るプランニングもデザインの一環である以上、個性も当然必要ですが、それ以上に必要なのは理にかなった機能性です。これを押さえずしてインリテリアを語っても妄言にすぎません。

 

…いろいろ蹴散らしてしまいましたが、つまり最も言いたい事は個性的な間取りを攻略したい人ほど、実はインテリアの歴史や、人間工学、人の心理、素材などについての基本をしっかり押さえるのがまずは必須であるのに、、ということです。

とはいえ、日本のマンションの固定観念を取っ払ってこの「廊下を無くす」という動きが業界に出てきたというのはとても良い流れだと思いますので、今後AI INTERIORSで学んだデザイナーの方々が優れたプランを広げていってくれるはず、と密かに期待しています。

 

Have a beautiful day,

Ai

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シカゴのインテリアデザイナーのあいです。独自開発したインテリアデザイナー、コーディネーター養成講座には現在100名以上が在籍。無料講座も提供中。インテリアのノウハウやトレンドなどを随時ブログ等で発信しています。
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